2023年07月12日
ハコニワトリ2023その5~人魚姫・後編~
※23/07/18、一部リンクを張り直しました
人魚姫、後半です。
前半はコチラ→
尚、こちらはかなり物語を端折った簡易版です。
「君は誰?
どこから来たの?」

振り返ると、そこに愛しい王子が立っていました。
「声が出せないのだね。
可哀想に。
私と一緒においで」

王子は人魚姫を自分の城へ連れ帰り、大層可愛がりました。
声を出せない事も、一歩歩く度に痛む二本の足も、何もかも気にならないほど
人魚姫は幸せでした。
けれどもそんな日々は長く続きませんでした。
王の命により王子は隣国の王女と結婚する事になったのです。
最初は結婚に乗り気でなかった王子でしたが、
王女を一目見るなり心を奪われてしまいました。
なんと隣国の王女は、砂浜で倒れていた王子を抱き起こしたあの女性だったのです。

「一国の王子に生まれた以上、結婚相手を自由に選ぶ事は
叶わないと思っていました。
なのに、私を助けてくれた貴女と結婚できるなんて、運命です!」
王女は頬を赤らめてうつむきました。
そんなふたりを人魚姫は物陰から見つめる事しか出来ませんでした。
あの日と同じように。
人間になる薬を貰った時に魔女は言いました。
「この薬を飲んで人間になっても、おまえが王子の愛を得られず、
王子が他の女を選んだらその時は
おまえは海の泡となって消えてしまうのだよ」
一方、海の底では帰らない妹姫を心配した姉の人魚姫たちが
何百年も生きている海の魔女のところを訪れていました。

「お願いです!
私たちはどうしても可愛い妹を取り戻したいのです」

魔女は言いました。
「この魔法のナイフで王子の心臓を一突き。
血を吸ったナイフが刺したものに魔力をくれる。
醜い人間の足が消えて、元の美しい魚のしっぽが生えてくるのさ。
……でも、ただではナイフは渡せないよ」
地上では、王子と隣国の王女の結婚準備が進められていました。

花嫁衣装を纏った隣国の王女は真夏の日差しに煌めく波頭よりも輝いて見えました。

王子は無邪気に言いました。
「可愛い私の姫、私の妃のベールを持っておくれ」
その日は船の上で夜遅くまで結婚パーティが開かれました。
やがて騒ぎも収まり、皆が寝静まった頃、
人魚姫は自分を呼ぶ声に気付いて甲板へ出ました。

呼んでいたのは、姉の人魚姫でした。
美しかった長い髪はばっさり切られ、見る影もありません。
「私たち、魔女から髪と交換にこのナイフを貰ってきたの。
これで、王子を刺して。
そうしたら海の泡にならずに済むわ。
もう一度私たちと海の底で一緒に暮らしましょう」

王子と王女はふたり仲良く安らかに眠っていました。

人魚姫はナイフを取り落としました。
「出来ない! 私には出来ない!!」

甲板に出ると東の空が白み始めていました。

人魚姫は海に身を投げました。
自分の体が溶けて軽くなり、上へ昇って行くのを感じていました。

気がつくと人魚姫の周りには小さな羽を生やした精霊がいっぱい舞っていました。
姫の背中にも小さな羽が生えていました。
人魚姫は風の精霊になったのです。
そうして今も透明な体で陸上の色々なものを見つめているのだそうですよ。
おしまい
お疲れ様でした。
次回は人魚姫・NG写真集の予定。
人魚姫、後半です。
前半はコチラ→
尚、こちらはかなり物語を端折った簡易版です。
美しい背景と小物を駆使し、登場キャラも多い完全版はハコニワドールへどうぞ。
「君は誰?
どこから来たの?」
振り返ると、そこに愛しい王子が立っていました。
「声が出せないのだね。
可哀想に。
私と一緒においで」
王子は人魚姫を自分の城へ連れ帰り、大層可愛がりました。
声を出せない事も、一歩歩く度に痛む二本の足も、何もかも気にならないほど
人魚姫は幸せでした。
けれどもそんな日々は長く続きませんでした。
王の命により王子は隣国の王女と結婚する事になったのです。
最初は結婚に乗り気でなかった王子でしたが、
王女を一目見るなり心を奪われてしまいました。
なんと隣国の王女は、砂浜で倒れていた王子を抱き起こしたあの女性だったのです。
「一国の王子に生まれた以上、結婚相手を自由に選ぶ事は
叶わないと思っていました。
なのに、私を助けてくれた貴女と結婚できるなんて、運命です!」
王女は頬を赤らめてうつむきました。
そんなふたりを人魚姫は物陰から見つめる事しか出来ませんでした。
あの日と同じように。
人間になる薬を貰った時に魔女は言いました。
「この薬を飲んで人間になっても、おまえが王子の愛を得られず、
王子が他の女を選んだらその時は
おまえは海の泡となって消えてしまうのだよ」
一方、海の底では帰らない妹姫を心配した姉の人魚姫たちが
何百年も生きている海の魔女のところを訪れていました。
「お願いです!
私たちはどうしても可愛い妹を取り戻したいのです」
魔女は言いました。
「この魔法のナイフで王子の心臓を一突き。
血を吸ったナイフが刺したものに魔力をくれる。
醜い人間の足が消えて、元の美しい魚のしっぽが生えてくるのさ。
……でも、ただではナイフは渡せないよ」
地上では、王子と隣国の王女の結婚準備が進められていました。
花嫁衣装を纏った隣国の王女は真夏の日差しに煌めく波頭よりも輝いて見えました。
王子は無邪気に言いました。
「可愛い私の姫、私の妃のベールを持っておくれ」
その日は船の上で夜遅くまで結婚パーティが開かれました。
やがて騒ぎも収まり、皆が寝静まった頃、
人魚姫は自分を呼ぶ声に気付いて甲板へ出ました。
呼んでいたのは、姉の人魚姫でした。
美しかった長い髪はばっさり切られ、見る影もありません。
「私たち、魔女から髪と交換にこのナイフを貰ってきたの。
これで、王子を刺して。
そうしたら海の泡にならずに済むわ。
もう一度私たちと海の底で一緒に暮らしましょう」
王子と王女はふたり仲良く安らかに眠っていました。
人魚姫はナイフを取り落としました。
「出来ない! 私には出来ない!!」
甲板に出ると東の空が白み始めていました。
人魚姫は海に身を投げました。
自分の体が溶けて軽くなり、上へ昇って行くのを感じていました。
気がつくと人魚姫の周りには小さな羽を生やした精霊がいっぱい舞っていました。
姫の背中にも小さな羽が生えていました。
人魚姫は風の精霊になったのです。
そうして今も透明な体で陸上の色々なものを見つめているのだそうですよ。
おしまい
お疲れ様でした。
次回は人魚姫・NG写真集の予定。
この記事へのコメント
お疲れさまでした~!あれ、最初の日にお姉様ジェシカと青髪あやのお姉様が魔女のとこに行くシーン、撮った覚えがない…
後から後から後悔出てくるのほんとわかります。編集してると「しまった~このシーン欲しかった!」ってなるんですよね。1回のみのロケだからな~。最初に絵コンテ切っとくべきだったかな?(笑)
NGシーン!私も書く予定です!楽しみにしてます!!
後から後から後悔出てくるのほんとわかります。編集してると「しまった~このシーン欲しかった!」ってなるんですよね。1回のみのロケだからな~。最初に絵コンテ切っとくべきだったかな?(笑)
NGシーン!私も書く予定です!楽しみにしてます!!
Posted by ぷりうす at 2023年07月12日 18:48
姉人魚たちが魔女のところへ行くシーン辺りでぷりうすさんのカメラの電池が切れたんじゃなかったんでしたっけ? かなりクオリティヤバかったのでぷりうすスタジオにお願いする流れになったような……。
絵コンテ切っておけば良かったんですが、それやってると多分撮影は夏休み明けにずれ込んだと思います。(^◇^;)
返事が遅くなって申し訳ありませんでした。NGシーン、爆笑しました!
絵コンテ切っておけば良かったんですが、それやってると多分撮影は夏休み明けにずれ込んだと思います。(^◇^;)
返事が遅くなって申し訳ありませんでした。NGシーン、爆笑しました!
Posted by ニワトリモドキ
at 2023年07月13日 21:06

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